「心に残る物語」が教えてくれる、あなた自身のストーリー

はじめに

なぜだかわからないけれど、何度読んでも心に残る物語がある。

手塚治虫の『どろろ』と『ブラック・ジャック』。

どちらも昔から知っていたけれど、大人になって改めて触れてみたら、胸を突き刺すような共鳴を感じた。

今回は、この2つの物語を通して、僕自身の人生と重なる部分、そして気づいたことを綴ってみたいと思う。

復讐から始まる物語

『どろろ』の主人公・百鬼丸は、生まれてすぐに身体の48か所を魔物に奪われる。

彼の旅は、自分を奪った者への“復讐の旅”でもあった。

『ブラック・ジャック』もまた、無免許の天才外科医として孤独に生きているが、その出発点には、幼い頃に経験した事故と、医療制度への怒り、社会への不信がある。

法外な治療費を請求してまで稼いだ金は、かつて自分と母を見捨てた医師たちに復讐するための舞台——島の購入に使われていた(エピソード「しずむ女」)。

どちらも「奪われたものを取り戻す」という目的を掲げながら、その裏には、「この世界に復讐する」という静かな怒りがあった。

そして、その怒りこそが、僕自身の中にもあったものだった。

奪われたものを取り戻す旅

僕自身に重なるのは、「能力が足りない自分」にがっかりされてきた記憶。

できないこと、うまくいかないことに対して、“なんでできないの?”という落胆のまなざしを何度も浴びてきた。

ときには「こんなこともできないの?」と、笑うように言われたこともある。その言葉が、今も心の奥に小さな棘のように残っている。

できない自分は恥ずかしい、情けない——そうやって、自分の価値を「能力」で測る癖がついてしまったのかもしれない。

今思えば、けっこうひどい親だったなと思うけれど、当時の僕はただ必死に「認められたくて」頑張っていた。

一人で歩き始めたあの頃

誰にも頼れなかった。
だから僕は、自分でなんとかするしかないと思った。

感情を抑えて、冷静にふるまって、傷つかないように、心を凍らせるように生きていた。

そんな僕にとって、百鬼丸やブラック・ジャックは、憧れのヒーローであり、自分の分身のようでもあった。

人を寄せつけず、でも強くあろうとする姿に、どこか自分を重ねていたのかもしれない。

それでも、人間らしさを捨てなかった

百鬼丸は旅の中で、少しずつ感情を取り戻していく。

痛みも、怒りも、優しさも。体を取り戻すたびに、人間らしい心が戻ってくる。

ブラック・ジャックもまた、表面上は冷たく見えて、実は誰よりも命に寄り添っていた。

復讐の舞台まで整えながらも、最後にはそれをやめて、医師としての道を選んだ。

僕もまた、少しずつ“人間らしさ”を思い出していった。

誰かと本音でつながること。
感情を感じること。

そして、傷を抱えながらでも、人を信じてみたいと思った。

物語は書き換えることができる

昔の僕は、復讐劇やリベンジものの主人公が好きだった。

バカにされたり、踏みにじられたりした人が、最後に見返す——そんな物語に、自分を重ねていた。

いつか自分も見返してやる。
成功して、認めさせてやる。

そんな思いで、がむしゃらに頑張っていた。

でも、ある時ふと気づいた。
その物語は、ずっと“他人の目”の中で生きる脚本だったと。

復讐は、自分の首を締める。
燃やした炎は、いつか自分を焼いてしまう。

だから僕は、物語を変えようと思った。

誰かを見返すためじゃなく、自分を生きるために。

今も、旅の途中にいる

今、僕は人を癒す仕事をしている。

昔の自分のように、どこか満たされない思いを抱えた人と向き合い、その人が自分を取り戻すお手伝いをしている。

完璧に癒されたわけじゃない。今も、自分の足りなさに苦しむこともある。ふと昔のことがよみがえる日もある。

でもそれでいい。
百鬼丸も、ブラック・ジャックも、未完の物語だ。

僕もまた、終わらない旅の途中にいる。

おわりに

この2つの物語に惹かれたのは、ただ好みの問題じゃなかった。

そこに、自分の人生が映っていたから。

奪われたものを取り戻す旅。

孤独の中で人間らしさを思い出すプロセス。

そして、誰かを救う側に立とうとする選択。

物語は未完かもしれない。でも、その分だけ、これから書き足していける余白がある。

きっとこれからも、百鬼丸とブラック・ジャックは、僕の心のどこかで、共に寄り添い続けてくれるだろう。

あなたの心に残る物語は、なんですか?

きっとそこには、あなたの人生が鏡のように映し出されているのかもしれない。

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