火を手渡すということ 〜 蝋燭の灯りが教えてくれた「在り方」〜

小さな火を、そっと手渡す
私が以前参加していたある卒業式で、とても印象に残っている儀式があります。
それは、「キャンドルの火を手渡す」ものでした。
最初に灯された一本の火を、隣の人へ、また隣の人へ。
一人ひとりがその火を受け取り、やがて会場全体に、静かな光が広がっていく。
何も語らなくても、ただ火を渡すその時間は、とても神聖で、あたたかいひとときでした。
火は、分け合っても減らない
誰かに火を渡すということは、何かを「与える」というより、「ともに在る」という行為だったのかもしれません。
火は分けても減りません。
むしろ、渡せば渡すほど、あたたかく広がっていく。
まるで、思いやりや、安心感のように……。
だからこの儀式は、ただの演出ではなく、“生き方”を伝えるメッセージだったのだと、今は思います。
昔は、光だけを求めていた
私自身、かつては「明るさ」や「ポジティブさ」を強く求めていました。
ポジティブな言葉、成功する考え方……そういった光のような情報に惹かれていた時期があります。
そして、いつの間にか、「光さえあれば闇は消える」と信じていたのです。
でもそれは、光に群がる蛾のようだったのかもしれません。
まぶしい光に飛び込んで、その中で自分を見失い、疲れ果てて……。そんな時期もありました。
闇と共に生きる
だから今になって、あの蝋燭の火の意味が、やっとわかります。
強い光で闇を消すのではなく、闇と共存しよう。
その火は、誰かを変えようとはしない。ただ、そばに在り続ける。
そんな火が、どれだけ多くの人を救ってきたのだろうと思うのです。
火は、私たちの中にある
もしかしたら私たちは皆、誰かから火を受け取って生きてきたのかもしれません。
- 見守ってくれた人のまなざし
- 黙って隣にいてくれた時間
- 決して言葉にはならなかった優しさ
そういうものが、
私たちの中の火を、絶やさず灯してくれていた。
そして今、
私たち自身がまた、誰かに火を渡す番なのかもしれません。
世界を照らすのは、静かな火の連なり
たった一本の蝋燭の火が、一人、また一人と手渡されていき、やがて世界を包む光になる──
そんな未来が、本当にあるといいなと思います。
それは、声高に語られる正義や希望ではなく、静かで、小さく、でもあたたかい光のつながり。
私たちの「在り方」こそが、その火そのものなのだと思います。
あなたの火は、今も静かに灯っている
もし今、誰にも見えないような闇の中にいると感じていたとしても、きっとあなたの中にも、まだ消えていない火がある。
無理に誰かを照らそうとしなくても、その火があるだけで、もう充分に誰かの支えになっている。
火は、ただ明るいだけじゃなくて、あたたかいものだから。
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