無理にポジティブにならないで

思考を変えればうまくいくのか?
「もっと前向きに考えたらうまくいくよ」
「過去は手放して、未来に目を向けよう」
「思考を変えれば、現実も変わるよ」
そんな言葉を何度も聞いてきました。
それが間違っているとは思いません。
でも、どうしても心に引っかかるのです。
なぜなら、その言葉の前に──まだ、拒絶の傷を抱えたままの人がいるからです。
拒絶の記憶は、理屈では癒えない
私は対人恐怖症の頃、ずっと人から拒絶されることを怖れていました。
思ったことを言う前に、身体が勝手に萎縮する。
考えるより先に、体が縮こまってしまうのです。
今はそこまで酷くはないですが、慣れない場所では、その癖が少し顔を覗かせることがあります。
頭ではわかっています。
私は価値のない人間ではないし、愛されてもきた。
そんな今の自分を、受け入れてくれる人がいることも知っています。
だけど、身体が反応してしまう。
それは、きっと幼い頃、親から怒鳴られたり、ビンタされたりした記憶のせいなのでしょう。
繰り返し怒られて、萎縮した。
その記憶が体に刻み込まれているのです。
ポジティブを語る人が、悪いわけじゃない
これまで、のびのびと生きている人を、たくさん見てきました。
そういう人には、ふたつのパターンがあるように思います。
ひとつは、もともと拒絶の傷を持っていない人。
親から受け入れられ、自己肯定感が自然に育った人。
こういう人は、基本的に優しい。
人を責めないし、明るい人も多い。
もうひとつは、傷を凍結させて頑張ってきた人。
感情を感じずに前に進むことで、生き延びてきた人。
すごく成果を出していても、近寄るとピリピリしていて、自分にも他人にも厳しい。
私が出会ってきたのは、ほとんどがこのどちらかでした。
「乗り越えた人」は、もしかしたらいたのかもしれないけれど……少ない印象です。
問題なのは、傷を知らない人が、それを教えようとすること
拒絶の痛みを経験していない人が、ポジティブの力で人生を好転させてきた。
それ自体は素晴らしいことです。
でも──
その視点のまま、傷を抱えた人に向かって「変われるよ」と言ってしまうことがある。
感じ切ることもなく、癒されることもなく、「前向きになればいいのに」と軽く言われる。
それは、拒絶された人に、もう一度“あなたは間違っている”と突きつける行為かもしれません。
別に、ポジティブが悪いというわけではありません。
順番が違うのです。
傷ついた人には、傷ついたままでいられる場所が必要だ
- 感じることを許される場所
- 否定も、評価もされない時間
例えば、泣いたり、弱音を吐いても、誰にも責められず、急かされない空間。
そういう場所があってはじめて、人は“自然と”前を向けるようになります。
誰かにポジティブを教えられたからではなく、自分の奥に眠っていた「立ち上がる力」が、内側から戻ってくるんです。
悲しみを知っているから優しくなれる
拒絶の傷を持つ人は、誰よりも、人の痛みに敏感です。
自分がされてきたことの苦しみを、知っているから。
だからこそ、その傷が癒えたとき、ほんとうの意味で、誰かに寄り添える存在になれる。
それは、ポジティブを越えた、深い優しさです。
この記事が届いてほしい人へ
- 頑張っても変われなかった
- 前向きになれない自分を責めてきた
- ポジティブな人を見て、ますます落ち込んでしまった
変われないんじゃない。
順番が違っただけなんです。
あなたのペースで、ゆっくりでいい。
無理にポジティブになろうとする前に、ありのままの気持ちを感じてみてください。
悲しい、怖い、腹がたつ。どんな気持ちも、あなたにとって大切な一部。
それを我慢しなくても、いいんです。
自己受容の第一歩を、あなたのペースで
もし今、誰にも言えない苦しさを抱えているなら──
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無理せず、そっと寄り添う時間を過ごしてみませんか?

最後までお読みくださりありがとうございます^^