令和の米騒動が映し出す、日本農業の限界

スーパーでお米の値段を見て、思わず立ち止まってしまった。
「5kgで4000円超え?ちょっと高すぎない?」
この春から初夏にかけて、米の価格高騰に驚いた人も多いのではないでしょうか。
政府はあわてて備蓄米を放出し、急場をしのごうとしていますが、これは根本的な解決にはなっていません。
むしろ、この“令和の米騒動”は、長年放置されてきた日本の農業の構造的な限界を、はっきりと炙り出したとも言えるのです。
なぜ米が値上がり?──背景にある複雑な構造
米価高騰の背景には、いくつもの要因が重なっています。
・2023年の猛暑による不作
・インバウンドや外食需要の急増
・コロナ禍がすぎ、ダブついていた古米の在庫が底をつく
・追い討ちをかけるように、肥料や燃料など、生産コストの上昇
・高齢化による生産者の減少と後継者不足
こうした要因が一度に押し寄せ、「供給は減っているのに、需要は戻ってきた」という状況が生まれました。
コロナ前くらいまでは、米が余っていましたが、ここ数年で不足する事態になり、需給バランスが崩れて米価格が一気に急騰したのです。
世間では、「卸が出し惜しみして、価格を引き上げている」などと言われていますが、一部、そういった動きもあるにせよ、実際は米が不足していることが最大の原因です。
しかし、本当の問題は、そこではありません。
これらを根本から立て直す“構造改革”が、ほとんど進んでこなかったことにあります。
小規模農家=票田、変わらない政治
農業は、長年にわたって自民党の強力な支持基盤でした。
地方の小規模農家は“票田”として大切にされ、農協(JA)を通じて、国の支援や補助が分配されてきました。
一見、それは“農家を守る優しい政策”のように思えます。
でも、現実にはこの構造が、かえって改革を妨げてきたのです。
補助金で延命はできる。でも、それで“農業を継ごう”という若者は、ほとんどいません。
お金を出しても、やりたい人は増えない
現場を知っていればわかりますが、農業は体力勝負で、腰も膝も痛くなるし、収入も不安定です。
よく「棚田は美しい」と言われますが、実際に田植えをしてみれば、あれがどれだけの重労働かがわかります。
先祖たちは「やりたくて棚田を耕した」のではなく、「平地がないから、仕方なく山を切り拓いた」のです。
そんな場所を今の若者に継がせるには、ただ「お金を出す」だけでは足りません。
解決のカギは、“志”ではなく“仕組み”
これからの農業は、“家業”から“職業”になっていくのが、無理のない自然な流れでしょう。
たとえば:
・土地を集約して大規模化
・機械やAI、ドローンなどの活用
・農業法人に就職し、チームで作業
・国からは「農業を続けること」に対する直接支払い
実際、AIやGPSなどを活用した、大規模スマート農業も行われ始めています。
「やる気のある人」だけに任せるのではなく、安定収入と社会保障を完備した“やりたくなるような仕組み”をつくる必要があるのです。
農業を、ちゃんと生活が成り立つ仕事にすること。
それがなければ、どんなに補助金を積んでも人は集まりません。
美しさだけでは、農業は続かない
田んぼは確かに美しい。日本の田園風景の美しさに、心が惹かれる気持ちもわかります。
でも、それは“見ている側”の感想にすぎません。
実際にそこに立ち、手を動かし、土にまみれ、収入に悩む人がいる。
その現実に目を向けずに、文化や伝統だけを語っても、何も変わらない。
そしてもう一つ、よく語られるのが「無農薬こそ理想」という言葉です。
確かに農薬を使わない農業には価値があります。
でも、実際にやってみれば、それがどれだけ技術的に難しく、どれだけの手間と知識が必要かに気づくはずです。
虫は湧く。雑草は伸びる。病気も起きる。それらに一つひとつ人の手で対応し続けるのは、「優しさ」や「意識の高さ」だけで乗り越えられる世界ではありません。
無農薬に強く惹かれる人は、“自然は人に優しい”とか、“純粋であるべき”というどこかで理想化された幻想を抱いているように感じることもあります。
でも現実の自然は、思った以上に過酷です。
だからこそ、農業を“幻想の上”ではなく、“現実の土台”にのせて考える必要があるのだと思います。
農業を守るとは、“その土地に生きる人たちの幸せを守る”ことと、同じはずです。
最後に
備蓄米の放出は、確かに一時的な効果がありました。
でも、次にまた異常気象が来たら?
農家がさらに減ったら?
国が備蓄を減らしたら?
──同じことが繰り返されるだけです。
そして、もうひとつのリスクとして見過ごせないのが輸入米への依存です。
今後、供給不足を補うために外国産の安価な米に頼る動きが加速するかもしれません。
でも、それは価格の問題ではなく、国防や食料安全保障の問題でもあります。
世界情勢が不安定になったとき、「米が手に入らない」という事態が、起こり得るのです。
だからこそ今、日本は「農業をどう続けてもらうか」ではなく、「どうしたら人が自然に続けたくなるか」という問いに、本気で向き合う時期に来ているのだと思います。
自己受容から「自分の声」を取り戻したい方へ
この記事では、日本の農業を通して「構造を知ることの大切さ」をお伝えしました。
でもこれは、社会だけでなく、私たち一人ひとりの心にも通じる話です。
変われないのは、あなたが悪いからではありません。
ただ「仕組み」を知らなかっただけかもしれません。
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