喫茶ノポッポ物語　第２話「コーヒーの適温」

ここは、なぜか悩める人たちが集まる喫茶店「ノポッポ」。
今日もひょろっと背の高いマスターが、至極の一杯を届けます。

さてさて、今日はどんなお悩みがやってくるのでしょうか。

上司がわかってくれない

「マスター、ちょっと聞いてくれます？」

今日のお客さんは、新人サラリーマンの悟。
どうやら、上司とうまくいっていないみたいです。

「うちの会社、古いんですよ。
いまどき請求書を手入力で作ってて。
システム化すれば一発なのに。
無駄だって言ったら、『うちはうち』ですよ。
課長、あんた、おかんかよ笑」

「頭の古い上司を持つと、大変ですねえ」

悟が言うことに、マスターは静かに頷きながら、
湯気の立つカップをそっと差し出しました。

「お熱いうちにどうぞ」

「ああ、でも僕、猫舌なんですよ」

マスターは少し笑って言いました。
「課長も猫舌なのかもしれませんね」

相手の「適温」に合わせてみる

悟は思わず吹き出しました。
「……なるほど、ゆっくりしか飲めないタイプか」

悟は少し考えてから、
「すぐに変えようとするのは、無理があるかもしれない」
とつぶやきました。

「どうして改善が必要なのか、少しずつ伝えていけば、
わかってくれるかなあ」

マスターは微笑みながら、カップを指さしました。
「だといいですね。
……そろそろ、コーヒーも飲み頃では？」

悟はその言葉に笑い、
ゆっくりとカップを口に運びました。

おわりに

今日も悩みが万事解決……したかどうかはわかりませんが、 悟の心は少しあたたかくなったようです。

さてさて、明日はどんなお悩みがやってくるのでしょうか。

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