『カリオストロの城』と今の日本
正義が届かない国で、何が盗まれているのか?

「やつはとんでもないものを盗んでいきました……あなたの心です」
この名台詞で知られる宮崎駿の名作アニメ『ルパン三世 カリオストロの城』。
だが今、この物語に描かれた“ある象徴的なシーン”が、
私たちの現実と不気味なほど重なって見えてくる。
銭形の正義と、会議室の沈黙
終盤、銭形警部はインターポールの立場で、
長年偽札を製造し続けていたカリオストロ公国を堂々と糾弾する。
「この国が長年、世界中に偽札をばらまいてきた事実は明らかであります!」
彼は正義の怒りをもって世界の会議室に切り込む。
しかし──その場の空気は冷ややかだった。
誰も声を上げず、誰も動こうとしない。
偽札の恩恵を受けていた各国の上層部が、
「極めて高度な政治的問題だ」と口を濁す。
利権の前では、正論は無力
このシーンは、現代日本の政治と重なる。
- 地位協定の不平等
- 緊縮財政の嘘
- 消費税の逆進性
- 外資によるインフラの切り売り
- 通貨発行できるのに「財源がない」と国民を苦しめる構造
どれも、明らかな問題であり、論理的には説明できる。
だが、正論をいくら言っても、誰も動かない。
なぜなら──
その裏には利権があるからだ。
- アメリカの意向
- 経団連やグローバル企業
- 財務省や国際金融資本
- メディアによる世論操作
この国では、“正しさ”より“金と支配”が優先される。
現場の交渉だけでは、構造は崩せない
銭形のように現場で命がけで交渉する人がいても、
後ろにいる人間たちが沈黙すれば、すべてが空転する。
れいわ新選組の伊勢崎賢治氏が「地位協定は3年で見直せる」と言うのは理屈として正しい。
だがその理屈が通るには、“交渉する政治家”が必要だ。
“動かす官僚”と、“支持する世論”と、“圧力に屈しない報道”が必要だ。
だが今の日本に、それはない。
だから、銭形の声のように──
正義の声はむなしく会議室に響き、沈黙に飲まれる。
私たちが盗まれてきた“とんでもないもの”
偽札をめぐる陰謀とロマンを描いたこの物語。
だが今の日本では、もっと深刻なものが盗まれている。
- 国家の主権
- 命と暮らし
- 未来への希望
- 「自分たちで決められる」という民主主義の感覚
それは静かに、そして確実に失われてきた。
それでも、まだルパンがいる
だが、物語にはルパンがいた。
銭形の正義が無力でも、
ルパンは裏をかき、真実を暴き、
国家の中枢に風穴を開けた。
私たちにも、ルパンのような存在がいる。
誰にも雇われず、誰の顔色も見ず、
この国の歪みを言葉にし、現場で叫び続ける人たち。
そんな声なき声を上げる人が、今、この国に増えている。
あなたが感じている“違和感”に正面から向き合っている人たちだ。
正義が届かないとき、希望はどこにあるか?
それは、「正しさを諦めない人間たち」の中にある。
たとえ会議室が沈黙に包まれていても。
たとえマスコミが報じなくても。
たとえ誰も振り返らなくても。
何かを盗まれたまま、黙って生きていくわけにはいかない。
「やつはとんでもないものを盗んでいきました……あなたの心です」
この台詞の重みを、
いま国民一人ひとりが噛みしめるとき──
この国の物語は、きっと変わり始める。