本当にやりたいことが見つからないのは、自己受容が足りていないからかもしれない

「やりたいことが分からない」 「やりたいことがある気もするけど、自信がなくて踏み出せない」

そんな声を、私は起業相談やカウンセリングの現場で何度も聞いてきました。

ビジネスの方向性が決まらない。 選びたいのに、決められない。 自分にできるのか分からない。

このような悩みの根っこにあるのは、実は「自己受容の不足」かもしれません。

自分の考えに自信が持てない理由

やりたいことが分からないという人には、ある共通点があります。

それは、「自分の気持ちや意見を受け入れてもらった経験が少ない」ということです。

たとえば、子どもの頃に「これがやりたい」と言っても、 「そんなの無理」 「それより、こっちにしておきなさい」 と否定されることが続くと、

「どうせ言っても否定される」 「自分の考えは間違ってるのかも」 という思い込みが心に刻まれてしまいます。

そしてやがて、自分自身の声までも否定するようになってしまう。

「こんなことやってみたいけど…無理だよね」 「私のやりたいことなんて、誰の役にも立たない」 「やるなら、もっと目的がはっきりしてないとダメだ」

そうして、自分の中に“ダメ出しする親”のような存在が生まれてしまうのです。

この状態を、心理学ではインナーペアレンツ（内なる親）と呼びます。

それは、過去に親や先生、大人たちから受けた否定的な言葉や態度が、 自分の内側に深く染み込んで、 無意識のうちに「自分の声」となって繰り返される現象です。

本当は「これをやってみたい」と思っていても、 「やめておいた方がいいよ」 「失敗したらどうするの？」 と、自分の内側からブレーキがかかる。

このブレーキが強ければ強いほど、 やりたいことを考えるたびに迷い、 動けず、自信をなくしていきます。

だからこそ大切なのは、「やりたいこと探し」よりもまず、 自分の気持ちを否定しない自分になることなんです。

自己受容とは、「今の自分にOKを出すこと」

私自身も、やりたいことが分からずモヤモヤしていた時期がありました。

あれこれ考えてもどれもピンとこない。 やってみてもすぐに辞めたくなる。

そんなとき、心の中にはいつも、 「自分には無理」 「きっと失敗する」 という否定の声がありました。

でも、あるとき気づいたんです。

「今の自分にも、やれることはあるかもしれない」 「小さな“やってみたい”を、やってみよう」

そう思えるようになったときから、少しずつ動けるようになりました。

そして気づいたのです。

やりたいことは、“今の自分をそのまま認める”ことで自然と見えてくるのだと。

小さな挑戦が未来をひらく

起業や副業の相談では、 「これだと思えるものが見つからない」 「最初の一歩が踏み出せない」 という声を多く聞きます。

でも、本当に大切なのは、完璧な答えを探すことではありません。

ビジネスの土台になるのは、 「小さな挑戦を重ねていくこと」。

どんな優れた人でも、百発百中という経営者はいません。１０個試して１つでもうまくいけば儲けもの、というのが普通です。小さな挑戦を続けて、まずは１つうまくいくパターンを見つける。そして、その一つの小さな成功を元に徐々に大きく育てていけばいいのです。

逆にいきなり「これで絶対に成功しなきゃいけない！」と気負いすぎると、 動けなくなったり、無理な挑戦で大失敗して、自信を失ったりする場合もあります。

やりたいことは、頭の中でいくら考えても見えてきません。

実際にやってみて、感じて、フィードバックを受け取ることで、 少しずつ見えてくるものです。

だからこそ、 「今の自分でも大丈夫」 「まずはこれからやってみよう」 と、自分に声をかけてあげることがとても大切なんです。

心に素直に従う力が未来をつくる

私たちは、「損か得か？」「正しいかどうか？」で物事を判断しがちです。

でもその背景には、「失敗したくない」「間違ったら評価されない」という不安や怖れがあります。

だけど、本当に大切なのは、 「私はどう感じているか？」「どちらに心が動くか？」 という“感覚”です。

損得や正しさではなく、自分の心の声に素直に従うこと。

そのためには、やっぱり「自己受容」— つまり、「今の私でいいんだ」と思える心の土台が欠かせません。

使命や大義名分なんて、なくても大丈夫。 誰かに評価されるためじゃなくていい。

ただ、「これをやってみたい」 その気持ちに少しずつ従って動いていくことが、 やがて誰かの役に立ち、感謝され、喜ばれることにつながっていきます。

やりたいことは、自己受容の先にある

やりたいことが分からない。 動けない。 自信が持てない。

そんなとき、無理に答えを出そうとしなくていいんです。

まずは、「私は今のままでいい」と、自分に許可を出すこと。

その小さな一歩が、心をほぐし、未来を動かす力になります。

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