私がライトワーカーになった理由1
こんにちは、ライトワーカー起業コーチの竹内ともひろです。
今回は私がどうしてライトワーカーとなったのかについて、お話したいと思います。たぶん長くなるので、数回に分けてご紹介したいと思います。
人生の転機
26歳の私は悩んでいました。アニメーターになるために上京して早4年。ちっとも芽が出ないし、自分には才能がないことにも気づいていました。
このままアニメーターを続けるかどうか、辞めたとしても、これから何をしたらいいか、進路にとても迷っていたのです。
そんな26歳の夏、実家に帰省をすることにしました。新幹線の中、通り過ぎる富士山をぼんやりと眺めながら、今後の身の振り方について考えました。
実家でゆっくり過ごしながら、これからのことについて考えてみるのもかもしれないーーー
地元の駅に到着し、帰省ラッシュで混み合うコンコースを歩いていると、前からスーツ姿の女性の二人組がこちらに近づいてくることに気づきました。なんでこっちを見てるんだろう。知り合いでもないと思うけど……。そう思っているうちに、二人が私の目の前に来て立ち止まりました。
「私たち研修会社の者ですが、1日に3人の方にお話をして、感想をいただいています。お茶でもしながら、私たちの話を聞いていただけませんか?」
大きな勘違い
逆ナン?いや、会社の新人研修か?今どきのOLさんも大変なんだな。
いきなり声をかけられたことに戸惑いましたが、これも人助けだと思って頼みを引き受けることにしました。
雑談を交わしながら一緒に歩いていくと、ある雑居ビルに着きました。付いてきて本当に大丈夫だったかな。今さらながら不安になりましたが、やっぱり帰るとも言えず、とりあえず話だけでも聞いてみることにしました。
机と椅子だけが置かれた簡素な部屋に通されると、二人の話が始まりました。その話を聞いて、私は自分が大きな勘違いをしていたことに気づきました。
どうもこれはセミナーの勧誘みたいだぞ。研修会社ってそういう意味だったのか。
「あなたもこのセミナーを絶対に受けた方がいいですよ!」「そう!絶対に受けた方がいいです!」
そう言われても、内容もよくわからないセミナーを受ける理由が見当たりません。しかも薄給の下っ端アニメーターには、提示されたセミナー代も払えません。
「申し訳ないけど、お金もないし受ける気はありません」
「でも、転職を考えている竹内さんには、自分のことを振り返るいい機会になると思いますよ」
「だから、そう言われても、本当にお金がないんですよ」
「じゃあ、これからお金を作ったらいいじゃないですか」
「そうですよ!私たちもお金を作る方法を一緒に考えますから!」
この人たち、さっき会ったばかりなのにぐいぐい来るなあ。でも、その提案になぜかちょっとワクワクする気持ちが湧いてきました。
いきなり街中で見ず知らずの人に声をかけられて、よくわからないセミナーを勧められる。しかもお金がないなら、これから作ったらいいと言う。
無茶苦茶な話ですが、これって何かが変わるきっかけになるかもと思いました。行き詰まった状況を打破するためには、何か思い切ったことが必要かもしれない。そんなことを考えていた矢先だったので、ちょっと心が揺さぶられてしまったのです。
一応言っておきますが、良い子はそういう誘いがあっても簡単に乗っていはいけません。当時の私は世間知らずだったので、そんな荒唐無稽な話に魅力を感じてしまいました。
騙されたとしても、失うのはお金だけ。それに、眼の前の二人がなんとなく嘘をついているようにも見えません。私は昔から勘だけは鋭いので、嘘をついているかどうかがなんとなく分かります。この人たちには、そういう匂いがしないのです。
そこで私は「じゃあ、お金はこれから作るとして、少し返事を待っていただけませんか」と答えました。やばいと思ったら、その後で適当に断ればいい。そう考えたのです。
「では、いつのセミナーにするか、先に予定を決めてから動きましょう」
なんと!いざとなったら逃げればいいと思っていた私の心を見透かされてしまいました。逃げ道を塞がれてしまったので、もう言い訳ができません。
私は勢いに押されて、その場で申込みをしてしまったのです。
慣れない肉体労働
セミナーは、1ヶ月先。それまでにお金を準備しなくてはなりません。アニメーターでは、月に10万円しか稼げません。それでは、ほとんど生活費で消えてしまいます。
となると、アニメーターを休んでバイトをするしかない。まあ、辞めることは決めているし、社長には事情を話せばなんとかなるだろう。
東京に帰りアルバイト情報誌を買い込むと、時給がいい短期バイトを探しました。
日給11,000円の夜間の仕分け作業か。これなら予定の日までになんとかお金は準備できるだろう。すぐに電話をして面接を受けることにしました。人手が足りないのか、簡単な面接ですぐに採用されました。
バイトは思いっきり肉体労働で、正直、初日で辞めたいと思うほどしんどい作業でした。実際、一緒に入った同期は、次の日から姿が見えなくなりました。
「筋肉痛は一週間で慣れる。関節痛は一ヶ月で慣れる。辛いのは最初だけだ」
ドヤ顔で先輩からそう言われましたが、こんな重労働、続けられるわけがないと思いました。そもそも、セミナー代と当面の生活費が稼げればいいだけなので、長く続けるつもりはありませんでした。
そんなこんなで、1ヶ月バイトを続けて、なんとかお金を作ることができました。これならセミナー代に交通費を足してもお釣りがくる。ただ、久しぶりに大金を手にしたせいか、欲が出てきてしまいました。
これをよくわからないセミナー代に使うのは、いくらなんでももったいないんじゃないか。苦労して得たお金を前にして、そんな思いが湧いてきたのです。
「うん。やっぱりセミナーは断ろう」
約束を破ることに罪悪感はありましたが、電話をしてセミナーの申込みをキャンセルすることにしました。
偶然の再会(?)
大金を手に入れた私はすっかり浮かれていました。これで何を買おうか。ステレオコンポも欲しいし、漫画も大人買いしたい。服を買うのもいいかも。そうだ!欲しかった映画のビデオテープを買いに行こう。
ある朝、ふと思い立って、新宿に向かうことにしました。当時の新宿には、中古のビデオショップが何軒かあり、レンタル落ちの映画が、一本千円とか二千円くらいで買えたのです。
浮かれ気分で新宿の街を歩いていると、向こうから二人の女性がこちらに向かって走ってきました。なんだろう、この既視感は。そう思っていると突然その二人が「受けて!」と言ってきました。
受ける??何を???そんな疑問を差し挟む余地がないほど、矢継ぎ早やに「受けて!」「受けて!」と言ってきます。
なんなんだ、この人たちは。こんなおかしな人たちに捕まってはいけない。そう思って早足で逃げるのですが、二人はずっと「受けて!」と言って追いかけてきます。
「さっきからなんですか!受けてって一体何を受けるんですか!?」
「私たち、研修会社の社員なんです。セミナーを受けてもらいたいんです!」
研修会社?なんかどこかで聞いた言葉だな。
「もしかして、〇〇の会社の人ですか?」
「そう!よくご存知ですね!」
「だって、先月、名古屋でオタクの会社のセミナーを勧められたばっかりだし。東京にも同じ会社があるんですか?」
「そうなんです。本社は東京なんです」
「ふうん、よく知らないけど、そんなに有名な会社なんですか?」
「有名かどうかわかりませんが、名古屋でもうちの社員に会ったなんてすごい偶然ですね!そうだ!いい機会だし、これから本社を見学に来ませんか?」
「まあ、そうですね。時間もあるし……別にいいですけど……」
偶然の出来事が面白くて、なんとなくノリでついて行くと答えてしまいました。
本社に到着すると、見学もそこそこに再びセミナーを勧められました。最初は断っていましたが、あまりに二人がしつこく勧めるので、最後は根負けして渋々セミナーを受けることを承諾してしまったのです。
(続く)