所有の終焉と、南国の釣り人。

——アングロサクソン文明の次にくる「贅沢」の形

かつてタイを旅したとき、現地の人と話していて、ふと気づいたことがある。「本当に笑顔が多いんだな」と。

「ほほ笑みの国」という代名詞は伊達ではない。そこには、日本的な空気を読んだ愛想笑いとは違う、もっと根源的で軽やかな、自然な笑顔が溢れていた。なぜ彼らはこれほどまでに、今この瞬間を穏やかに笑って過ごせるのだろうか。

その答えを探っていくと、人類が長らく囚われてきた「所有」という名の呪縛、そしてその終焉が見えてくる。

「深刻さ」は北国の生存戦略だった

タイの「マイペンライ(気にしない)」という楽観主義は、豊かな自然の恩恵を受け、食料に困らなかった南国の歴史から育まれている。明日を心配する必要がないほど豊かな土地に暮らしてきた彼らは、自然にそんな文化を育んでいった。

日本にもタイとそっくりな文化がある。沖縄の「なんくるないさ」精神だ。本来は「まくとぅそーけー(正しい行いをしていれば)なんくるないさ(自然となるようになる)」という、努力と誠実さを前提とした深い意味を持つ言葉だが、そもそも豊かな南国でなければ、こういった楽天的な発想自体、生まれにくいだろう。

タイや沖縄とは対照的なのが、現在のアングロサクソン文明のルーツである北国だ。雪に閉ざされる冬を越すためには、綿密な計画と、必死の「貯蔵(ストック)」が不可欠だった。この「備えなければ死ぬ」という恐怖が、土地や資源を境界線で囲い込み、自分のものとする「所有」の概念を産んだ。

さらに深刻な氷河期を迎えたことでこの考えは加速する。生き延びるために、自分たちの土地を捨て、他国への侵略も行った。そうして彼らの意識には「強者は弱者から奪い、支配することは正義である」という信念すら生まれた。

世界は長らく、この北国由来である、強者特有の「所有と管理」のルールに支配されてきた。

私たちは、彼らの教えを刷り込まれたことで、深刻に悩み、未来に備えて蓄えることこそが、正しい生き方だと、長らく信じ込まされてきたのだ。

労働の消失がもたらす「文明の回帰」

しかし今、大きな転換点が訪れている。AIやロボットによる自動化の台頭だ。

自動化の波は、アングロサクソンが築き上げた「労働と対価」のシステムを根本から壊そうとしている。モノが自動で生み出され、労働という苦役が消えていく未来。そこでは、必死に所有し、守る必要も、深刻に将来を憂う必要もなない。

皮肉なことに、最先端のテクノロジーが行き着く先は、かつての南国のような「働かなくてもなんとかなる」環境の再現なのかもしれない。アングロサクソン的な「所有の時代」が終わりを告げるとき、私たちの価値観は再び、南国のあの軽やかな笑顔へと回帰していく。

「その日暮らし」という究極のあがり

ここで、有名な「メキシコ人漁師の寓話」を思い出す。

エリートビジネスマンが、のんびり釣りをしている漁師に「もっと働いて会社を大きくし、大金持ちになれば、引退して自由に釣りが楽しめるぞ」と説く。すると漁師は笑って答える。「それは今、俺がやっていることだよ」と。

「その日暮らし」という言葉は、これまでの社会では計画性のなさを蔑む言葉だった。しかし、執着から解放され、自然に笑顔が出る状態で今を楽しむその姿は、実は最も贅沢な人生の完成形(あがり)ではないだろうか。

結び:深刻さを手放した先に

深刻になっても、事態が好転することはない。 むしろ、深刻さを手放したときに初めて、人はタイの街角で見たような、あるいは南国の堤防で糸を垂らす釣り人のような、自然な笑顔を取り戻せる。

所有の欲求が執着に変わり、世界を覆い尽くした時代はもうすぐ終わる。 その先に待っているのは、豪華なクルーザーを所有することではなく、ただ静かに海を眺め、「今日は釣れても釣れなくても、いい一日だった」と笑える、そんな「南国の釣り人」のような豊かさなのだ。

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投稿者プロフィール

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竹内ともひろ
自己受容セラピスト。自己肯定感の低さや生きづらさに悩む方を中心に、これまで3,000人以上の問題を解決。解決志向アプローチや再決断療法など、複数の心理療法を組み合わせた独自のセッションで、相談者が本来の自分を取り戻し、自然体で生きられるようサポートしています。

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