家族になれなかった僕たち──小泉孝太郎とムロツヨシ、愛着と友情の物語
tomohiro
俳優・小泉孝太郎さんとムロツヨシさん。
テレビや舞台で活躍するこの二人の関係は、業界内でも有名な"親友"として知られています。
一緒に食事をし、連絡を取り合い、互いの家族とも顔を合わせるような関係。
けれどその背景には、二人に共通するある"欠けたもの"があるのです。
それは、幼少期に体験した"家庭の不在"──つまり、愛着の傷でした。
家庭で得られなかったもの
小泉孝太郎さんは、父・小泉純一郎元首相の長男として生まれました。
両親は彼が幼い頃に離婚し、母親とは長らく会っていないと言われています。
弟・進次郎さんに比べて、母との記憶は多少あったかもしれませんが、それでも母性の継続的なぬくもりに触れる機会は限られていたはずです。
一方、ムロツヨシさんもまた、幼少期に両親が離婚。
その後、父の再婚・再再婚を経験しながら、安定しない家庭環境で育ったことを公言しています。
実の母とも疎遠となり、長い間会っていないとのこと。
このように、二人はそれぞれのかたちで「家庭＝安心できる場所」を持てなかったという共通点があります。
二人が独身である理由
心理学の視点で見ると、親との安定した関係性（愛着）が幼少期に築かれないと、大人になってからも「人と深くつながる」ことに慎重になります。
二人が独身であることも偶然ではありません。
幼い頃に母親と別れた人は、「自分は愛する人から見捨てられた」「またあの悲しみと絶望を味わいたくない」と人と深く繋がることを恐れるようになります。
特に男性の場合は、「愛する人（元は母親）を自分は守ってあげられない」という恐れに変わることもよく見られる傾向です。
二人のインタビューを見ても「家族という言葉がしっくりこない」「縁がなかったので」と、家族という深いつながりをどこか遠ざけている感じがします。
もう見捨てられたくない
自分の本音を抑えて、人に合わせてしまう。
相手から嫌われないように、いつも笑顔で振る舞う。
それは一見 "いい人" に見えるのですが、裏では"見捨てられる不安"や"自分には価値がないのではという疑い"と戦っていることも少なくありません。
孝太郎さんも、ムロさんも、テレビで見せる笑顔や気配りの奥に、そうした静かな悲しみを抱えてきたのかもしれません。
友情という、もうひとつの愛着
でも、だからこそ──
二人の間にある友情は、特別なものに映ります。
血縁ではない。
けれど、お互いを深く理解し、信頼し合い、気を許せる存在。
それはまさに、大人になってからもう一度つくり直された「もうひとつの愛着関係」です。
誰にも見せない弱さを見せられる相手。
何も言わなくても分かってくれる安心感。
そういう関係があれば、たとえ家族に満たされなかったとしても、人は安心して生きていけるのだと思います。
家族になれなかった僕たちへ
家庭に問題があった人ほど、「誰かとちゃんとつながりたい」「安心したい」という気持ちを強く持っています。
でもそれは、必ずしも"親"との関係だけで癒す必要はありません。
友人でも、パートナーでも、時にはペットでも、自分が安心できる関係を、人生のどこかで築けたなら……。
それは、失われた愛着を少しずつ取り戻す旅の途中なのだと思います。
小泉孝太郎さんとムロツヨシさんの友情は、そんな旅の途中で出会った、あたたかくて、静かで、深いつながりなのかもしれません。
家族がくれなかった愛情を、友情がそっと埋めてくれることもある。
それは、静かで、でも確かな“絆”と呼べるものかもしれない。
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