「Soul Shadows」──魂の影が、私の心に残った日

最初にこの曲を聴いたとき、私はまだジャズもフュージョンもよく知りませんでした。

それどころか、音楽自体、あまり聴かなかったし、まだ音楽の魅力をよく分かっていなかった頃の話です。

クルセイダーズの「Soul Shadows」。

誰かが薦めていたその曲を初めて聴いたとき、私は思わず耳を奪われました。

イントロのグルーヴ、渋くてソウルフルな歌声、心地よいリズム。

ただただ「なんて格好いいんだろう」と思ったのを覚えています。

でもそのときは、歌詞の意味もよくわからず、そこに込められた想いの深さにも気づいていませんでした。


魂の影を受け取った瞬間

それから年月が経ち、ある日ふとまたこの曲を聴きました。

静かな朝、イヤホンで流していたその音楽は、当時とはまったく違う響きで心に届きました。

歌詞に登場するのは、ファッツ・ウォーラー、ジェリー・ロール・モートン、サッチモ(ルイ・アームストロング)、ジョン・コルトレーン――

すでにこの世を去った偉大なミュージシャンたち。

彼らの名前が語られるその詩は、まるで追悼であり、祈りであり、そして「今も彼らの魂は音楽の中に生きている」と教えてくれるものでした。

"He left those soul shadows on my mind"
「彼は、私の心に魂の影を残していった」

あの時感じた「かっこいい」という直感は、今では「魂が震えるような感動」へと変わっていたのです。

音楽は、大河のように流れている

私は思います。
音楽って、まるで川の流れのようだと。

どこかの源流から始まり、さまざまな音楽や文化の流れが合流して、やがてひとつの大きなうねり、グルーヴを生み出していく。

ブルースからジャズへ、ジャズからソウル、ファンク、そしてフュージョンへ――

その流れの中に、「Soul Shadows」も、私自身もいるんだと思います。

今の時代、ソウルミュージックは時に“形だけ”になってしまっているようにも感じます。

元来、「ソウル」とは、黒人たちの魂の叫びであり、自由を求めて生きた彼らたちの歴史そのものです。

今ではルーツが曖昧になり、その意味も知らず、音だけが残っているようなものも少なくありません。

それでも、音の奥には、過去の偉大なミュージシャンたちの魂が生きている。

私はそれを、この曲に教えてもらった気がしています。

直感の出会いが、魂の記憶を呼び覚ます

音楽は、理屈じゃなくて、感覚でつながるもの。

「なんかいい」と感じたその瞬間に、きっと私の中にある“音楽の記憶”や“魂の記憶”が呼び起こされたのかもしれません。

それは、目に見えないけれど確かにある“ソウルシャドウ”――

魂の影が、今の自分の心にも残っている証なのかもしれません。

さいごに

もし、あなたが今、心を揺さぶるような音楽に出会っていないなら、ふとしたきっかけで聴いた1曲が、人生を変えるかもしれません。

音楽は、時代を超えて流れる魂の記憶。

その影が、あなたの中にもそっと残っていきますように。

Soul Shadows(歌詞)

San Francisco morning coming clear and cold
サンフランシスコの朝は、澄みきって冷たい

Don't know if I'm waking, or I'm dreaming
目が覚めているのか、夢を見ているのかわからない

Riding with Fats Waller on the Super Chief
スーパーチーフ号に乗って、ファッツ・ウォーラーと旅している

He said, "Music's real, the rest is seeming"
彼は言った、「音楽こそが本物で、他は幻さ」


Oh, deep pain
ああ、深い痛み

Feeling that won't go away
消えない感情

There's the sound of his soul in the air
空気の中に、彼の魂の音が響いている

I can hear it up there
その音が、あそこから聞こえる

And I know
そして、私はわかる


He left those soul shadows
彼は「ソウルの影」を残していった

On my mind, on my mind, on my mind
私の心に、心に、心に

He left a soul shadow
彼は「魂の影」を残した

On my mind, on my mind, on my mind
私の心に、心に、心に


Standing by the window as a fog rolls in
窓辺に立ち、霧が押し寄せてくる中で

I swear I can hear a far-off music
誓って言える、遠くの音楽が聞こえるんだ

Jelly Roll is playing down in Storyville
ジェリー・ロールがストーリーヴィルで演奏してる

Satchmo wailing somewhere in Chicago
サッチモ(ルイ・アームストロング)がシカゴのどこかで叫んでいる

Coltrane reaching for the notes his mind can hear
コルトレーンが、心で聞こえる音をつかもうとしている

Ah, they remain a part of all that I knew
ああ、彼らは、私が知っていたすべての一部であり続けている


Oh, they play, feelings that won't go away
ああ、彼らの演奏は、決して消えない感情を呼び起こす

Left the sound of their souls in the air
空気の中に、彼らは魂の音を残していった

I can hear it out there and I know
私にはそれが聞こえるし、わかるんだ


They left those soul shadows
彼らは「ソウルの影」を残していった

On my mind, on my mind, on my mind
私の心に、心に、心に

They left a soul shadow
彼らは「魂の影」を残した

On my mind, on my mind, on my mind
私の心に、心に、心に


Oh, they play
ああ、彼らは演奏している

Feeling that won't go away
消えない感情とともに

There's the sound of their soul in the air
空気の中には、彼らの魂の音がある

I can hear it out there and I know
私にはそれが聞こえるし、わかるのだ


Soul shadows
魂の影

On my mind, on my mind, on my mind
私の心に、心に、心に

Soul shadows
魂の影

On my mind, on my mind, on my mind
私の心に、心に、心に


Standing by the window as a fog rolls in
霧が立ち込める中、窓辺に立ち尽くす

I swear I can hear a far-off music
誓っていい、遠くから音楽が聞こえるんだ

Jelly Roll is playing down in Storyville
ジェリー・ロールがストーリーヴィルでプレイしている

And Satchmo is wailing in Chicago
サッチモがシカゴで吠えている

You oughta hear them play, feelings that won't go away
聴いてごらん、あの演奏を、心に残るその感情を

Left the sound of their souls in the air
彼らの魂の音が空気の中に残っている

I hear out there and I know
私にはそれが聞きこえるし、わかるんだ


They left them soul shadows
彼らは「魂の影」を残していった

All on my mind, on my mind, all on my mind
すべて、私の心に、心に、心に

They left them soul shadows
彼らは「魂の影」を残していった

All on my mind, on my mind, on my mind
私の心に、心に、心に

They left soul shadows on my mind
彼らは魂の影を、私の心に残した

They left them shadows on my mind
彼らは影を、私の心に残した

They left them souls on my mind
彼らは魂を、私の心に残した

Oh, left them shadows on my mind
ああ、その影を、心に残したんだ

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

コメントは日本語で入力してください。(スパム対策)