無力感の本当の正体──やる気が出ないのは、感情を感じられなくなった心のサイン

なぜやる気が出ないのか
「頑張らなきゃと思っても、どうしても体が動かないんです」
「何も感じないんです。うれしいも、悲しいも、特にない感じで…」
先日のセッションで、そんな言葉を口にしたクライアントさんがいました。
やる気が出ない。涙も出ない。何もしたくない。
でも、それをどこかで「自分の甘え」だと責めてしまっている。
だけど私は、すぐにこう思ったのです。
この方の心は、いま「凍っている」のかもしれない、と。
無力感とは、決して「やる気がないから」起きるものではありません。
むしろその逆で、感じることに耐えられなかったほどの、深い心の痛みがあるのです。
感じたくても感じられない。
動きたくても動けない。
その奥に、どんな感情が眠っているのかを見つめていきましょう。
なぜ、無力感を感じるようになるのか?
無力感とは、心の中で「もう何をしても無駄だ」と感じている状態です。
「どうせ変わらない」
「何を言っても聞いてもらえない」
「頑張っても認められない」
そんなあきらめが、静かに、でも確かに心を支配しているのです。
でも無力感は、いきなり出てくるわけではありません。
最初はたいてい、怒りや悲しみ、不安といった感情があります。
「わかってもらえなくて悲しい」
「理不尽に怒られて悔しい」
「置いていかれそうで怖い」
ところが、それらの感情を素直に出せなかったり、受け止めてもらえなかった経験が重なると、心は少しずつ、「感じること自体をあきらめる」ようになっていくのです。

そして最終的に、
「もう、何も感じたくない」
「もう、期待したくない」
「もう、動くのも疲れた」
という、感情のブレーカーが落ちたような状態になります。
それが、無力感です。
無力感の正体は、感情の“凍結”
感情は、本来なら流れるものです。
怒りも悲しみも、ちゃんと感じて、誰かに受け止めてもらえたら、自然と癒えていきます。
でも、もし「泣いたら怒られる」「怒ったら嫌われる」「怖いなんて言ったらバカにされる」そんな環境で育ってきたとしたらどうでしょうか?
感じることは、自分を守るどころか、傷つけることになってしまう。
だから心は、感情を感じるのをやめるしかなくなるのです。
その結果、「何も感じない」「何もできない」という無力感に変わっていくのです。
つまり、無力感は“エネルギーが枯れた”のではなく、“感じたくても感じられなかった感情の残りかす”なのです。
無力感から抜け出すために
無力感を感じているとき、つい自分を責めたくなるかもしれません。
「なんでこんなにやる気がないんだろう」
「どうして動けないんだろう」
「自分って、怠け者なのかな」
でも、無力感は“怠け”でも“性格の問題”でもありません。
感じたいのに感じられなかった、動きたいのに動けなかった、そんなあなたの“歴史”があるはずです。
だからこそ、無理に動こうとする前に、こう問いかけてあげてください。
「本当は、どんな気持ちを感じたかったんだろう?」
「あの時、何を我慢していたんだろう?」
すると、少しずつ、自分でも気づいていなかった“凍った感情”が溶け始めます。
怒りでもいい。悲しみでもいい。
それを「感じていい」と許可できたとき、無力感はやがて、やさしく解けていくのです。
あなたの心は、守ってくれていた
もし、あなたが今、何も感じられないとしたら。
それは、心が“もう傷つかないように”と、守ってくれている証です。
その無力感の奥には、ちゃんと感情があった。
怒りたかった。泣きたかった。誰かにわかってほしかった。
無力感は、それらの感情が届かなかった寂しさのあとに残された、静かな叫びです。
自分を責めるのではなく、「よくここまで我慢してきたね」と、そっと労わってあげてください。
そのやさしさこそが、凍っていた心を溶かしていく力になるのです。
あなたへのプレゼント
もっと自分の心とやさしく向き合いたいと感じたら、こちらもご覧ください。
無料電子書籍
『自己受容の魔法 〜わたしを許したら世界が変わった〜』
自分の心を癒す、自己受容のヒントを詰め込みました。物語で読みやすくなっています。

体験セッション
一人ではたどり着きにくい心の奥へ、そっと寄り添ってみませんか。
あなた自身を、もっと自由に、もっと軽やかに生きるために。

最後までお読みくださりありがとうございます^^